2018/4/2~27ヒマラヤパチェルモ6200m
カトマンズ北東の中国国境近くにあるパチェルモ6200mという、殆ど人の入らない山に行ってきました。当初、キャンプ8日の予定でしたが、最終ロッジが無人岩小屋だったため、キャンプ10日になってしまいました。氷河を詰めてエベレスト側に出る峠からパチェルモに登るのですが、氷河のようすが変わってしまい、峠とパチェルモがどこにあるのか分からず、偵察しうろうろしている間に、24個あったガスが2個しかなくなり、登頂はギブアップ。峠ルート発見を最優先。なんとかルートを見つけ、5750mの峠を越えて、反対側に抜けられました。1951年仏モーリス・エルゾーク隊(人類初の8千m峰アンナプルナ初登頂)は地図なしで山を見つけるのに1か月かかったそうですが、目指す山がどこにあるのか分からないというのは不安なものです。最近はエベレスト周辺の有名な山は頂上までフィックスロープが張ってあり面白味に欠けますが、それと比べるとアドベンチャー的要素が多く面白い山でした。
隊員:酒、ガイド:ゲルジュ、ポーター:二―マ・ゲルジェン・二―マJr
4/2 10:30成田発。マレーシア航空にてクアラルンプール経由。22:30カトマンズ着。Samsara Resort Hotel泊
4/4 07:00ジープにて5人でカトマンズ発。林道を揺られる。17:00ジャガット960m着。ダムの飯場のような所。ロッジ泊。
4/5 08:50ジャガット発。生活道を登る。12:10シミガオン2000m着。小さな農業集落。ロッジ泊。他にトレッカーなし。店もなし。
4/6 09:00シミガオン発。15:00ドバン2850m着。ロッジ2軒あり。ここで初めて下山トレッカーと出会う。東京岳人クラブ72歳の人。ネパール9回目で、ダウラギリ経験者。ロッジ泊。
4/7 08:00ドバン発。15:00べディン3690m着。ロッジ1軒あり。ネバール人トレッカー3人組と出会う。ロッジ泊。
4/8 高度順化。べディン3690mロッジ泊。ロルワリング川を遡るこのコースは静か。
4/9 08:00べディン発。12:30ナガオン4180m着。数戸の小さな集落。ロッジ泊。
4/10 高度順化。3時間ハイキング。ナガオン4180mロッジ泊。ゲルジュが野菜を買いにでるが売ってくれないと。
4/11 08:30ナガオン発。氷河湖右岸を登る。13:00タショロルパ4560m着。テント泊。岩小屋の茶店があり食事できる予想だったが無人。自炊となりガス2泊分追加消費。夜10㎝程降雪。
4/12 高度順化。ポーターがジャガイモを買いに下山すると言い出し、もめたが、雪がやんだので、取りやめとなる。小川沿いに3時間ハイキング。午後、再度雪に。タショロルパ4560mテント泊。
4/13 晴れ時々雪。08:45タショロルパ発。氷河を遡る。16:00ドロランバウ氷河4700m着。テン泊。
4/14 晴れ。08:30氷河キャンプ発。氷河のようすが変わりルート不明。3段積み小ケルン目印に進み偵察するが分からず。15:30ノシノブ5400m手前の仮テン場4900m着。テン泊。
4/15 07:30仮テン場発。暫定テン場にテン泊。ゲルジュがルート偵察。ロープフィックス。パチェルモはどこなのか、峠に至るルートはどこなのか、わからない。ゲルジュも少ない日本語語彙から「分からない」を連発。
4/16 晴れ。パチェルモ正面は雪崩の巣ゆえ左側の岩場を登る。仮BC5100着。テン泊。
4/17 曇りのち雪。視界なし。08:00仮BC発。膝ラッセルで思わぬ時間を取られた。私も足がなかなかでなくなる。16:00タシラプチャ峠の手前の雪面5600mほどに16:00着。テン泊。
4/18 晴れ。24個あったガスがあと1日分しかないことが判明。5700mの峠に出て反対側に抜けるルートを探すことを最優先する方針とする。07:30出発。右パチェルモ側ルートはアイゼン爪5㎜しか入らないブルーアイスなので左岩場ルートとする。50m+30mロープ2回フィックスし、何とか峠にでる。峠を懸垂し左に回り込み、本来のBCと思しき大岩下に13:00到着。テン泊。本来なら予備日で登頂可な筈だが、ガスがなければ仕方ない。生還優先とする。夕方から雪。ゲルジュは「登頂には150mフィックスロープ2本とアイススクリュー6本ないと無理」、「雪の少ない秋のほうがよい」との意見。今回は50m+30mなので装備不足。高度順化のためインとアウトが違うルートだったので、いろいろな問題があった。但し、ターメ側からのピストンは急に高度をあげるので順化不能。
4/19 07:00BC発。氷河にルートを探して、何とかゴロー地帯に出る。午後は水なし。ビスケットものどを通らない。14:30濁り川のある無人小屋着。2時間ほどで茶店があるはずと主張するニーマが先行。戻ってきて有人小屋ありとのこと。18:00タシラプチャ・ロッジ着。なんとか助かった。
4/20 09:15タシラプチャのロッジ発。12:30ターメのロッジ着。10日ぶりにお湯のバケツシャワーを浴びる。
4/21 08:00ターメ発。いままで誰とも出会わなかったが、ナムチェ付近からは銀座通りなみで、十数か国のトレッカー多数。異次元の世界。ナムチェで昼食。途中のなんでもない道でゲルジュが数メートル森に滑落。疲れがたまっていた感じ。15:00ジョエルサーレ着。ロッジ着泊
/22 08:30ジョエルサーレ発。15:30ルクラ2840m着。ロッジ泊。チップを渡し、慰労会。
4/23 06:30ルクラ発。11人乗り双発機で07:45カトマンズ着。カトマンズ泊。
4/26 23:30カトマンズ発。マレーシア航空にてクアラルンプール経由。4/27(金)18:00成田着。
谷間より望む天上麦畑 SS記
上:パチェルモ雪崩 下:5750m峠 上:BC5700m 下:登頂は往復8時間?(朝ガス切れ)