2026/8/1 一之瀬川本流

核心の第二ゴルジュの泳ぎ
第一ゴルジュを突破する

メンバー:古川(L)、N里、S田

5:55 西船橋発ー9:20駐車地着(一之瀬高橋トンネル右側)ー9:40駐車地発ー10:00入渓ー13:40大常木沢出合ー14:00脱渓ー14:15林道(15分休憩)ー15:00駐車地ー15:25駐車場発ー19:20西船橋

記録
当初は丹沢・葛葉川本谷で沢登り講習を行う予定だった。しかし初心者の参加がなく、会長と2名での山行となる見込みとなったため、経験者だけであればもう一段階レベルの高い沢へ行こうということになり、急遽、関東屈指の泳ぎ沢として知られる奥秩父・一之瀬川本流へ転進した。さらにSさんも参加となり、3名での沢登り講習となった。

アプローチは旧一之瀬林道を約15分歩くだけと短く、崩落した一之瀬橋の脇からトラロープを利用して入渓する。歩き始めはウェットスーツが暑く、「本当にこの格好で大丈夫なのか」と思うほどだった。しかし、その感覚は沢に入ると一変することになる。

最初に立ちはだかるのは第一ゴルジュ。ここは空荷で突破を試みる。水流は速く、途中からは足が着かない深さとなる。左壁のわずかなホールドを頼りに体を支えながら進み、小滝ではパワームーブで乗り越える。先行した私はロープを出して後続を引き上げるが、最後の一人はロープにつけたザックが水流の抵抗となり思うように進めない。壁に取り付こうとしても釜の流れに引き戻され、何度も壁から引き剥がされる。最終的には2人でロープを確保し、ザックを力ずくで持ち上げて何とか突破することができた。

第一ゴルジュを越えた先も安心はできない。流れの速い区間を右壁のへつりで進んでいると、同行者が足を滑らせて水中へ。あっという間に下流へ流されてしまったが、ライフジャケットのおかげで大事には至らなかった。改めて装備の重要性を実感する出来事だった。。一方で、ライフジャケットは浮力が大きい分、泳ぐ際には水中で体が浮き過ぎてしまい、思うように推進力が得られない場面もあった。状況によってはメリットとデメリットの両方があることを実感した。

続く第二ゴルジュはいよいよこの沢の核心部である。左右の壁は磨かれたように滑らかで、有効なホールドは少ない。流れも非常に強く、泳いで取り付こうとしても簡単に押し戻される。何度もトライを繰り返しているうちに体はどんどん冷えていった。

そんな時だった。ふとライフジャケットを見るとポケットのファスナーが開いている。嫌な予感がして確認すると、入れていたデジカメとスマートフォンがない。

「川底に落とした……。」

一気に血の気が引いた。

ヘルメットとライフジャケットを外し、ゴーグルを装着して潜水を開始する。水深は約3m。流れが強く、潜ることすら容易ではない。何度も潜って周囲を探していると、川底にスマートフォンを発見。一気に潜って回収することができた。

残るはデジカメ。周囲を何度も探したが見つからない。次第に体が冷え切り、一度岸へ上がる。真夏にもかかわらず震えが止まらない。ウェットスーツを着用していたにもかかわらず寒さを感じるほどで、水温の低さと停滞時間の長さを痛感した。

その時、Sさんが「売ろうと思っていたTough(防水デジカメ)があるから、それをあげるよ」と声をかけてくれた。その言葉に救われた気持ちになった。

再び潜って探したものの、結局デジカメは見つからず、回収は断念した。

第二ゴルジュ自体も無理はせず左岸から巻くことにする。トラロープは設置されているが傾斜は立っている。それでも上部では太い木の根がしっかりしており、それを頼りに登ることができた。後続にはロープを出して安全を確保する。

核心を越えたと思ったのも束の間、その先にも難所が待っていた。激しいホワイトウォーターとなった釜で、水流突破は困難。右岸には固定ロープが垂れていたが、取り付きはハイステップでホールドも悪く、その先のトラバースも悪そうだった。

左岸を観察すると、決してガバホールドではないものの、体の向きを工夫すれば十分使えるホールドがある。こちらからリードし、後続は肩がらみで確保した。しかし途中で後続が滑落し、大きく引かれて自分の体も前へ持っていかれそうになる。安全性を考え、途中からATCを使用した確保へ切り替えて通過した。

そこを越えると渓相は一転し、穏やかな流れとなる。大常木沢出合を過ぎた先では右岸が大きく崩落しており、一人ずつ慎重に通過した。

標高920m付近で脱渓し、右岸から尾根へ取り付く。急登ではあるものの踏み跡は明瞭で、ピンクテープも適度に設置されているため迷うことはなかった。

林道へ上がると、一部崩落箇所はあるものの、昨年の記録と比べると土砂は少なく感じた。おそらく沢へ流されたのだろう。そのまま約30分林道を歩いて駐車地へ戻り、充実感に満ちた山行を終えた。

下山後はのめこい湯で汗を流した。通常料金は1,000円だが、15時以降は700円で入浴できる。ぬめりのある泉質で肌触りが良く、泳ぎ続けて冷え切った体をじんわり温めてくれた。

泳ぎ、へつり、巻き、確保技術と、一之瀬川本流は沢登りに必要な技術が凝縮された一本だった。予想外のデジカメ紛失というアクシデントには落胆したが、装備の重要性、仲間のありがたさ、そして状況判断の大切さを改めて学ぶ一日となった。次回訪れるときは、リーシュコードを装着して入渓したい。

古川孝至

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